40代以降の秋バテに注意! 医師が解説「秋の体調不良」の特徴と対策 – 産婦人科専門医/ママ女医ちえこ | anan Beauty+

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秋になると、夏の疲れが出て体調を崩す「秋バテ」に悩まされる人が増えます。特に40代以降の女性は、ホルモンバランスの変化や更年期の影響で、体調不良が現れやすくなることも…。そこで今回は、秋バテの特徴とその対策について、特に40代以上の女性に向けて解説します。

秋バテの特徴

秋バテとは?

秋バテとは、夏の疲れが蓄積し、秋になってから体調不良を感じる状態を指します。夏は発汗による脱水症や体内の塩分バランスの乱れなどにより疲労が加速しがち。秋になると気温は落ち着く一方で、秋雨前線や台風の影響で気圧・湿度の変化があり、自律神経が乱れやすくなります。

また、日照時間が徐々に短くなることも秋バテに関係しています。日光にあたることで体内で合成されるメラトニン(※1)やセロトニン(※2)が減少し、メンタルの不調や不眠といった不調も徐々に悪化しがちです。これに、夏の間の疲労が加わることで、さらに秋バテを起こしやすくなります。具体的には、疲れやすさ、だるさ、頭痛、肩こり、消化不良、睡眠障害などの症状が現れることがあります。

40代以降の女性が秋バテを感じやすい理由

40代以降の女性は、更年期に差し掛かる人も多いでしょう。更年期には、女性の卵巣機能が低下していくことで、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少していきます。エストロゲンには、体温調節や血流改善、ストレスへの抵抗力を高める働きがあるとされます。更年期が近づくに連れてエストロゲンの分泌が減少すると、これらの機能が低下し、結果として秋バテの症状が現れやすくなるのです。

秋バテ対策

バランスの取れた食事

秋バテを防ぐためには、栄養バランスの取れた食事が重要です。特に、ビタミンやミネラル、抗酸化物質を含む食材を積極的に摂るようにしましょう。ビタミンCやビタミンEは免疫力を高めるとされ、疲労回復に役立ちます。緑黄色野菜や果物、ナッツ類を意識的に取り入れることが大切です。

良質な睡眠の確保

睡眠不足は、秋バテを悪化させる大きな要因です。睡眠の質を向上させるためには、寝る前にリラックスする時間を作るようにしましょう。照明を落とし、PCやスマホなどの電子機器の使用を控え、目に強い光を入れないようにするのがおすすめです。また、規則正しい生活リズムを保ち、午前~日中に太陽の光に当たることも大切です。

適度な運動

日々の生活が忙しく、通勤や買い物以外の運動習慣が全くないという女性も多いでしょう。ただ、適度な運動は40代以降の不調にとてもプラスに働きます。運動によって血流が改善されることで、体調不良が和らぐ場合も。ウォーキングやヨガ、ストレッチなどの軽い運動を日常生活に取り入れてみるといいですね。

ストレス管理

ストレスは、ホルモンバランスをさらに乱す原因となります。ストレスホルモンは女性ホルモンの分泌を抑えてしまうほか、過剰な食欲をもたらす作用があるため、肥満にもつながりかねません。

リラックスする時間を確保し、趣味や友人との交流を楽しむことで、ストレスを軽減することが期待できます。十分な睡眠や適度な運動は、ストレスホルモンを減らしたり作用を抑えるために有効だとされます。また、ストレス管理の一環として、深呼吸や瞑想を取り入れるのもおすすめです。

更年期の影響を考慮した対策

漢方やホルモン補充療法(HRT)の活用

更年期にさしかかると、様々な症状が出現する場合があります。急にほてってしまう、いわゆるホットフラッシュは有名ですが、その他にも、疲れやすい、肩こり、腰痛、頭痛、気持ちの落ち込みやイライラなど、さまざまな不調が出現することも。これに秋の気候による自律神経の乱れが加わって、さらにひどくなることも考えられます。

更年期症状が強く、日常生活に支障をきたしている場合、漢方を活用したり、ホルモン補充療法(HRT)も選択肢となります。漢方治療では、患者さんそれぞれの症状や身体状態を診た上で体質にあった漢方を使用し、生薬の薬効をいかして身体のバランスを整えていきます。HRTは、減少したエストロゲンを補うことで、更年期症状を緩和する治療法。ただし、HRTには副作用やリスクも伴うため、婦人科での相談が必要です。

サプリメントの活用

ホルモンバランスを整えるためのサプリメントも、一部で効果が期待されています。イソフラボン、ビタミンD、カルシウム、マグネシウムなどの成分が含まれるサプリメントを検討してみるといいでしょう。

ただし、サプリメントの摂取に際しては、過剰摂取にならないよう注意し、医師と相談の上で使用することが理想的です。厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM(※3)など、公的機関の情報を参照するのも有効でしょう。

秋バテが改善しない場合は婦人科へ

秋バテの症状が長引く場合や、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、早めにクリニックを受診するのがおすすめです。特に、40代以降の女性は更年期による症状のこともありますが、子どもの自立や両親の介護など、様々な社会的環境の変化が訪れる時期です。人によっては婦人科的なフォローだけではなく、精神科的なアプローチが必要な方もいらっしゃいます。自分でできる対策を行っても改善しない場合はためらわず、医師に相談することが大切です。

おわりに

秋バテは、特に40代以降の女性にとって、ホルモンバランスの変化や更年期の影響を受けやすい時期に現れる症状です。バランスの取れた食事、良質な睡眠、適度な運動、ストレス管理といった基本的な健康管理を徹底し、更年期の影響を考慮した対策を行うことで、秋バテを予防・改善することができます。それでも症状が改善しない場合は、婦人科や精神科での相談を検討しましょう。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット メラトニン
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット セロトニン
※3 厚生労働省.『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM

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筆者情報

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は17万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
X:@mamajoy_chieko

産婦人科専門医/ママ女医ちえこ

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